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Twice A Day ~前編~

Category4万HIT記念
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日頃より当サイトにご訪問いただき、誠にありがとうございます♪
おかげさまで、この度4万HITを記録いたしました! たいへん有難いことだなぁと嬉しく思っております。今後ともよろしくお願いいたします<(_ _)>
HIT記念として今回も恒例となっているSSを書きましたが、文字数が多くなったので分けることにしました。表題に倣いまして、前後編として1日に2話UPします。

連載の方が終盤なので、SSを挟むと水を差す感じになってしまうかと思いましたが、先延ばしもよくないだろうと思いました。
本日はこちらをお楽しみいただければ幸いです。

今回のSSも細かい設定は抜きに、独立したひとつのお話として書いています。
それでは、まず前編をどうぞ!





『Twice A Day』



「今日も楽しかった」
「ん…。俺も」
夏から付き合い始めた俺達。
牧野は、毎週土曜日の午後を俺のために空けてくれるようになった。
今日は二人で映画に行き、彼女の親友の誕生日プレゼントを一緒に選び、美味しいと評判のイタリアンレストランに足を運んだ。

彼女と過ごす時間は特別。
…だけど残念なことに、驚くほど過ぎるのが早い。

「…まだ一緒にいたいな」
俺がそう言うと、
「あたしも…って言いたいけど、明日はバイトだし、課題のレポートをする時間が足らないから」
ゴメンねと手を合わせ、上目遣いに謝る彼女には何も言えない。
牧野には牧野のライフスタイルがある。俺はそれを尊重するつもりだ。


「ね、来週はどうしよっか?」
「…気が早いね?」
「だって…。それを楽しみに、1週間乗り切ろうって思うもん」
ニコッと屈託なく笑う牧野。
可愛いことを言うようになったな、と彼女の素直さを嬉しく思う。

俺も微笑み、ある提案をする。
「…あのさ、1日だけでいいから朝と夕方、デートしよ」
「うん? 朝と夕?」
「そう。朝早くても平気?」
「早起きは得意だよ。…類こそ起きれるの?」
できる?と揶揄からかうような目をして小さく笑った牧野に、不意打ちでキスをする。チュッと軽く音を立てて唇を離すと、一瞬で赤くなった彼女の耳元にそっと告げた。
「あんたのためなら頑張る」
「…わ、わ、分かった…」
口元を隠しながらうつむいた牧野は、もう耳まで真っ赤だった。
他の人がいるのに…と、ちょっと怒ったような独り言が聞こえて、俺もちょっとだけ反省した。


次のデートに指定する日には、気象条件が必須だった。
終日晴れていること。日中の気温が25度前後あること。
天気の週間予報を見て水曜日が良さそうだと判断した俺は、牧野に水曜の朝7時に車で迎えに行くことを約束した。

…さて、彼女がどんな反応を示すのか。
土曜日とは別の楽しみに、俺はワクワクする。デートの内容を知らされていない彼女も、その日を心待ちにしてくれているようだった。



************



約束の日の朝、彼女のアパートまで迎えに行くと、車が停まるよりも早く牧野が玄関から姿を見せた。足取りも軽く、外階段を駆け下りてくる。
牧野は朝から元気いっぱいだ。
「類、おはよう!」
「準備がいいね。窓から見てたの?」
「うん。待ちきれなくて」
後部席に二人で並んで座ると、ごく自然に指先を絡め合う。

彼女の手は小さくて、柔らかくて、ホッとする温かさだ。
牧野のこの手を、いつまでも守ってあげたいと思う。


「あれ? ここ…」
「そ、俺のうち」
連れてきたのは本邸。牧野はここに何度か訪れてはいるけれど、付き合うようになってからは初めてだった。
「おうちデート?」
小首を傾げる様子の牧野に、俺は微笑みかける。
「牧野に見せたいものがある。庭を散歩しよう?」
「うん!」


今は9月下旬、時節としては仲秋にあたる。秋の訪れを告げる庭木や草花はたくさんあって、見る者の目を和ませ、楽しませてくれる。
キキョウ、リンドウ、ハギ、シュウメイギク、ヒャクジツコウ、オミナエシ等々。
庭園を管理する庭師の蓑井とは、昔から仲がいい。
彼は無口で、俺も無口だったから心安かったのだ。
老爺から教わった植物の名は俺の頭にインプットされていて、いつ、どの位置に、何が咲くのか、今ではそのほとんどを把握している。

「わぁ、綺麗だね」
手を繋いで庭内を歩きながら、見頃を迎えた花を次々に紹介していく。
牧野はその一つ一つに感嘆の声を上げ、俺の教えた花の名をなぞるように唱え、指先でそっと朝露に濡れる花弁に触れた。
…その指の動きが、ちょっとエロティックだって思ったことは内緒。
「類って博識だね」
「全部、蓑井の受け売りなんだよ」
「そっか。じゃ、記憶力がいいんだね」


庭園の端の陽当たりのいいその場所に、今日俺が彼女に一番見せたかった花が、微風に揺れながら咲いていた。
「類、この白い花はなんていうの?」
「スイフヨウだよ」
「へぇ…初めて見る」
真っ白な八重の花弁を開いたその花は、たった一日だけ開花してしぼんでしまう一日花いちにちばな。牧野は少し屈むようにして、群生しているスイフヨウにじっくりと魅入っていた。

「…さて、朝のデートはここまで」
「えっ? そうなの?」
「時間見てごらん。もう出発しなきゃ1限目に間に合わないよ?」
「あぁっ、ホントだ」
二人で秋の花々を愛でながら散歩をしていたのは30分間ほど。
冷涼な空気の中での、あっという間のrendez-vousランデヴー

「講義が終わったら迎えに行く。いつもの場所で待ってて」
「分かった。次は夕方のデートね?」
「そ」
いつまででも二人でいたいけれど、それは叶わぬこと。
俺達は大学に向かった。








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