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forecast ~前編~

Category8万HIT記念
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日頃より当サイトにご訪問いただき、誠にありがとうございます♪

おかげさまで、この度80,000HITを記録いたしました!
時を同じくして、拍手の総計も30,000を超えました。
現在の連載のみならず、過去作品についても折々に拍手をいただいております。
皆様の応援に深く、深く感謝いたします。

記念SSは10万HITまで書かない予定でしたが、書きたい病がウズウズしてしまったので結局トライしてしまいました。連載の執筆が難しい部分に差し掛かっているので、ちょっと現実逃避したくなったとも言う…。
一般的なイベント(Vt.や誕生日など)は、他サイト様と重複しないようなネタが浮かばないので、今後もあえてスルーの姿勢です(;^_^A

『forecast』は前編・中編・後編の三部作です。連載の更新日の合間にUPします。
描きたいことがシンプルだったので、今回は校了までとても早かったです(*'▽') 
…中身が薄かったらすみません💦 
尚、7万HITのあとがきに予告していた一風変わったネタではありません。

SSは、毎回書きたいワードを基に、想像を大きくふくらませて書いております。
連載とは一味違う二人の世界を楽しんでいただければ幸いです。


ただし、今回は前設定を少々。
始まりの場面は、つくしが高2、類が高3です。管理人の処女作『樹海の糸』のように、そもそもの最初から二人が交際しているものとしてお読みくださいませ。





『forecast』




二月にしては暖かなある日の非常階段でのこと。
花沢類はあたしの作ったお弁当を食べ終わると、唐突にこう言った。
「牧野、足出して」
「はぁ? あ、足?」
また急に何を言い出すんだか…。
あたしは自分のお弁当箱を包み終え、訝しみながら彼に確認をした。
「足って…どっちの?」
「右」
横座りにして畳み込んでいた足を伸ばして、彼に右足を示す。
「…これで、いい?」

花沢類はその足首を掴むとひょいと持ち上げて、胡坐をかいた自分の左膝の上に乗せた。そのまま上履きを下にポンと落とし、まるで皮を剥くようにしてあたしの靴下を脱がせていく。
「うひゃあぁ! やっ、なっ、何すんのっ」
「…声、大きいよ」
ちょっと何する気よっ!
慌てふためくあたしをよそに、彼はパーカーのポケットから何かを取り出し、素足になったあたしの右足首にそれをくるりと巻き付けた。

…紐?

「前にペアアクセの話したの、憶えてる?」
「ふぇっ?」
恥ずかしいのと意味が分からないのとで、あたしの口からは変な声が洩れ出る。
「ピアスはホールがないからダメ、時計もブレスレットも指輪も目立つからダメって言うから…」
…アクセサリーは校則違反なんだよ。無視されがちだけど。
で、花沢類は、そもそも校則自体を知らないだろうけど。
それに彼が選ぶ時計とか、価格が怖すぎる。

「…で、これにしてみた。着けるのもここなら目立たないし、高価でもないし、全部あんたの希望通り」
あたしのくるぶしの上に巻き付けられているのは、鮮やかな水色のミサンガだった。ところどころにピンクが差し色として使われている。
「花沢類、ミサンガなんてよく知ってたね。なんか意外…」
「スポーツ選手がよく身に着けてる。テレビで観たし」
「あぁ、うん。…テレビっ子だもんね」
でも、それならそうと、最初っから説明してくれればいいでしょ!



「はい。できた」
彼が、あたしの足首を軽くたたく。
あたしはすっかり冷えてしまった足先を引っ込めて、脱がされた靴下と上履きとを元通りに履いた。ミサンガは靴下の下で少しごわついたけど、気になるほどじゃない。
一方、体の方は寒さが吹き飛ぶくらい熱くなっていた。
冷えちゃうし、変な汗をかかせないでほしいんだけどな…。

「じゃ、次」
「…え?」
「俺にも結んで?」
ひぇぇっと、あたしは心の中で叫んだ。それが顔にもしっかり出ていたんだろう。
「牧野のを俺がしてやったんだから、俺のを牧野がするのは当然じゃん」
そ、そうかもしれないけどさぁ…。
花沢類は実に楽しそうだ。


あたしのと同じデザインのミサンガを手渡される。
彼のはベースが青で、差し色が赤。
花沢類はどんな思いでこれを選んだのかな。たぶん色にも意味があるんだろうな。
その姿を想像すると、嬉しくてなんかニヤついちゃうよ。
「そ…それじゃ、結ばせてもらうね。どっちの足?」
「俺は左」
花沢類は自分で靴下を下げ、その状態で膝を立ててあたしに左足首を示した。
…ホント、嫌になるくらい長い足。

「どうして、あたしと左右が違うの?」
「利き足にすると勝負運が増すらしい」
「へぇ…」
「恋人同士だから、本当は利き手の手首にさせたかったんだけど」
…ぐふっ。
さらりと述べられて、思わず目がうろうろと泳ぐ。
「いい加減、慣れたら?」

…慣れない。慣れないって。
だって、あたし、いまだにそれが信じられないんだもん。
花沢類と付き合い始めて、もう半年になる。
けど、まだ実感が湧かないって言ったら、きっと怒られるだろうな…。



揶揄い口調の彼の言葉は聞こえなかった振りをして、あたしは手渡されたミサンガを彼の足首に巻き付けようとした。
「…結ぶ前にイメージして」
「イメージ?」
あたしは手を止める。
「俺さ、牧野に結んだミサンガに、あんたと一緒に叶えたい未来を願ったんだ。…だから牧野も、俺と一緒に叶えたいことをそのミサンガに託してくれる?」


…えーと。
つまり、自分の願い事が、相手の方のミサンガに託されちゃうのね?
あたしのミサンガが千切れたら花沢類の願いが叶う予兆で、花沢類のミサンガが千切れたらあたしの願いが叶う予兆ってことでいいのかな?
なんか、ちょっとややこしい…。


あたしの反応がいまいちなので、花沢類はちょっと表情を曇らせる。
「俺と一緒に叶えたいこと……ないんだ」
「あるよ! あるから! でも少し考えさせて」
えぇいっ、このマイペースがっ。
事前に散々シミュレーションしていただろう花沢類とは違って、こっちは今、いっぱいいっぱいなんだからねっ。


あたしはぎゅっと目を閉じた。
彼が視界に入っていると、思考が掻き乱されてしまうから。
そして、思い描いてみる。彼と一緒に叶えたい未来って……なんだろう?


キスは、してる。いつも酸欠になっちゃうけど。
それから先のことは……まだ未知の領域。
でも、もう少しこの人に対して耐性つけてからじゃないと、無理。
たぶん、あたし、卒倒しちゃうと思うんだよ。

…だめだ。考えただけで頭煮えそう。
ソッチ方面の願い事じゃない方がいい気がする。


じゃあ、なんだろう。
一緒にしたいこと? 行きたいとこ? …見たいもの?

そのとき、瞼の裏の残像にキラキラとしたある光景が重なって、コレだ!って直感的に思えた。すぐ叶ってしまう願い事じゃ、つまらないよね?



「願い事、決まった?」
「うん! 結ぶね」
あたしは花沢類が指示する通りの結び方で、彼の左足首にミサンガを巻いた。
それが簡単には解けない結び方なんだって。
いつ切れるか分からないけど、ぜひ叶ってほしいな。

「願い事は内緒にしておいて。叶ったときに教えて」
「うん」
ニッコリと微笑み合ったのも束の間。
「…ところでさ、エッチな願い事じゃないよね?」
「はぁっ!? ちっ、ちっ、違うからっ」
でも一瞬、それが頭をよぎったのは事実だったので、あたしは慌てふためいた。
花沢類が悪戯っぽく笑む。
あたしの考えなど、お見通しだと言わんばかりに。
「それだったら、願いを込めるまでもないからね。…俺にはいつでもそのつもりがあるよ?」
「………っ!」
たぶん茹でダコみたいになったあたしを見て、花沢類が吹き出した。無言で繰り出した右ストレートを彼はあっさり受け止め、心底楽しそうに目元を綻ばせて笑った。





いつも拍手をありがとうございます。
さて、二人は何を願ったでしょうか? 中編は明後日の更新です。
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