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87.共鳴

Category『Distance from you』 本編
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いつから彼を愛し始めたのか 自分でもよく分からない
気付いたときには 彼は私の一部だった

彼が笑うと 私も笑顔になれる
私が悲しい顔をすれば 彼もつらそうな顔になる

心が共鳴し合う
そうした感覚は初めてだった


彼のどこが好きかと問われてもよく分からない
透き通った瞳から目が離せなくて
優しい言葉を紡いでくれる声が綺麗で
温かさを分け与えてくれる手に安心できて

どこという一部じゃない
彼のすべてが愛おしい
今ではそう思っている自分に驚く



愛し合うことに臆病だった私を 類は優しく抱いてくれた
過去に引き摺られそうになる度に彼が導いてくれた  
闇は次第に薄まり霧散していった

彼の腕の中で蕩けていく感覚だった
類が欲しくてたまらなくなる
やがて彼の熱が私を埋め尽くしたとき 溢れてきたのは歓喜だった

類の端正な顔がわずかに歪む
吐息にも似た声が洩れ 彼が感じているのが伝わってきた
それは私も同じだった
五感のすべてで彼を感じ その熱情を受け入れた



愛してるよ
あなたを


もう離れたくない
ずっと一緒にいたい


だけど私達はそれぞれが独立した個体だから
どんなに解り合い
愛し合い
融け合っても
本当の意味ではひとつにはなれない


夢のようなこの時間が終われば現実が待っている
それも分かってるの
でも 今だけは忘れさせて





つくしがいつから俺を愛してくれるようになったのかは分からない
だけど信じてた
彼女はすでに俺の一部で 失うことのできない存在になっていたから
いつか想いは通じるはずだと


彼女が笑うと 俺も笑顔になれる
俺がつらいときは 彼女も悲しい顔になる

心が共鳴し合う
そうした感覚は初めてだった



磨けば5人並みにはなるなんて言ったこともあったけど あれは嘘だよ
彼女は誰よりも綺麗だ


尊い使命に燃える瞳も
凛とした横顔も
他者のために心を砕ける優しさも


俺のためだけに生きてくれる彼女でなくても
つくしが自分らしく生きてくれることを俺は望んでる




愛し合うことに臆病だった彼女を 慈しむようにして抱いた
つくしは過去の記憶と必死に闘っていた
だけど 次第に俺の存在だけを意識してくれるようになった


彼女が俺を受け入れてくれたとき 溢れてきたのは歓喜だった
俺はずっと つくしが欲しくてたまらなかったから
俺のことも欲しがってくれたら と思っていたから
それからは 無心に彼女を求めた


俺達の間にもう言葉は要らなかった
お互いの顔を見つめれば どうして欲しいかが分かった


目が合えばキスをして
名を呼び合って
強く抱きしめ合って


体も心もひとつになって 
俺達はどこまでも深く満たされていった




ずっと一緒にいよう
どんなことがあっても 俺はつくしの手を離さない
だから 俺の手を離さないでいて


多くは望まない
平凡を絵に描いたような暮らしでいい


つくしがいて
俺がいて
俺達に似たこどもがいて
シロン達がいて
いつでも朗らかに笑っていられるような家庭を築くこと


それが俺の叶えたい たった一つの願いだから





いつも拍手をありがとうございます。

平成最後の更新でした。明日5/1はブログバースデーでもあります(*^^)v
新しい御代が平らかでありますように。
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6 Comments

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2019/04/30 (Tue) 22:47 | REPLY |   

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2019/05/01 (Wed) 00:25 | REPLY |   

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2019/05/01 (Wed) 00:47 | REPLY |   
nainai

nainai  

m様

おはようございます。いつもコメントありがとうございます(*'ω'*)
ついに新しい元号になりましたね!

再会から始まった二人の一夜をお送りしました。つくしにとっても、類にとっても、意義深い時間だったと思います。甘い時間はもう少しだけ続きますが、これから直面しなければならない現実があり、類との逢瀬も限局的なものです。その後の二人の奮闘を見守っていてくださいね。

令和の時代が明るく、平和であるように願ってやみません。
いつか私達や子供達の世代が『令和はいい時代だったね』と振り返ることができるような御代であってほしいです。

2019/05/01 (Wed) 06:47 | REPLY |   
nainai

nainai  

み様

おはようございます。いつもコメントありがとうございます(*´ω`*)
なんとか1周年を迎えることができました! なかなか感慨深いものです…。

志摩との記憶に強く束縛されたつくしには、『夜を越える』ことはとても困難なことでした。ですが、類の導きによって深い暗闇から抜け出すこの過程が、今作の醍醐味の一つでありました。類の優しさと気遣いとがじっくりと伝わればいいなぁと思いながら書きました。

ここがターニングポイントです。これからどうやって諸々の問題を解決していくのか、二人の奮闘を見守っていてくださいね。

2019/05/01 (Wed) 07:00 | REPLY |   
nainai

nainai  

ま様

おはようございます。いつもコメントありがとうございます(*'▽')
令和の始まりの日とブログバースデーが同じになるなんて、自分でもびっくりでした! 忘れられない記念日になりました。

相変わらずの長編ですが、お付き合いいただき、ただただ感謝です。
連載の最初の頃はあんなに頑なだったつくしが、今では類を志摩以上に深く愛せるようになれたんだ、とその成長を嬉しく思います。類がまったくブレず、とにかく一途なのも書いていて楽しいです。

新しい時代の始まりですが、災害の少ない平らかな御代であってほしいと切に願っています。

2019/05/01 (Wed) 07:04 | REPLY |   

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