FC2ブログ

Telepath ~Miku side~

Category10万HIT記念
 4
日頃より当ブログにご訪問いただき、誠にありがとうございます♪

この度、兼ねてより目標だった10万HITを迎えました!
時を同じくして、ブログ拍手の総計も40,000を超えました!
先日は初めてのブログバースデーも迎えまして、喜びも一入の1週間です。


2万HITから始まった記念SSシリーズですが、ここまでなんとか継続することができました。たくさんの応援に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。
5/1の記事にも書きましたように、これから徐々に実生活が忙しくなります。キリ番を見計らってのSS更新は難しくなるので、記念企画は今回の10万HITで区切りにしようと思います。しかし、SS自体の構想はまだまだありますので、現在の連載が終わってから、順次、執筆&公開していけたら…と思っております。


10万HIT記念では、“Summer Festival 2018”より、『風鈴~どっちが先?~』の続編をお送りすることにしました。花沢家の年子のお話です。これまた期せずして、公開が『こどもの日』というタイムリーな展開となりました。
ネタを温め続けて早くも1年…いやはや…(^ ^;)  
『風鈴』をまだお読みでない方、あるいは内容をお忘れになった方は、作中設定の把握のため、お手数なのですがそちらを先にお目通しいただければと思います。


『Telepath』はテレパスと読みます。おそらくこれは造語でして、小説では“テレパシーが使える能力者”という意味で用いられています。
姉の美玖みくside、弟の暁斗あきとsideの前・後編をご用意しました。ちょっと長いです。
子供の視点を初めて取り入れましたので、慣れない執筆作業になりました…。


今回も連載の合間に更新予定です。
連載とは一味違う世界をお楽しみいただければ幸いです(*'▽')


それでは、美玖sideからどうぞ!





『Telepath』



「ママ、先生からおたよりもらってきたの。だいじなお知らせだから、かならずわたしてくださいって」
美玖がそう言って一枚の紙を私に差し出したのは、学校から帰ってきてすぐのことだった。受け取った紙には、5月の参観日のお知らせが書いてある。

この4月から初等部に入学した長女の美玖。
ピカピカのランドセルと笑顔が眩しい。
制服が少しぶかぶかなのも、すぐお姉さんぶるのもすごく愛らしくて。
美玖は最初の数日間こそ緊張した様子だったけれど、すぐ環境に慣れて毎日楽しそうに通学している。


類とも話し合った結果、子供達の学び舎として私達が選んだのは永林学園だった。夫婦ともに英徳出身なのだし、母校が第一候補ではあったのだけど、滋さんの熱いラブコールに負けた形だ。

私達より先に結婚した滋さんには、3年生の長男・ひとし君と、1年生の長女・朱音あかねちゃんがいる。
「つくし、永林においでよ。一緒に役員しよう~!」
先輩ママである滋さんはPTA活動に積極的で、学校内部や行事などにとても詳しい。いろいろ話を聞いているうちに、英徳よりも永林学園の校風の方が、子供達に合っているのかもしれないと思うようになり、類にそれを相談した。

「いいんじゃない? 大河原がいた方がつくしも心強いだろ」
準備した資料にざっと目を通した後の類の反応は、実にあっさりとしたものだった。母校への愛着などは微塵も滲ませずに、そう言って了承してくれた。



私はお知らせを読み、美玖に微笑んだ。
「お便りありがとう。ちゃんと読んだからね」
美玖は嬉しそうに笑って私の膝によじ登り、ぎゅっとしがみついてきた。
年長の暁斗は、幼稚園から帰ってくるとすぐにお昼寝タイムに入ってしまうので、今は美玖だけを甘やかしてやれる。

「さんかん日、来てくれる?」
「もちろん行くよ」
「パパも来てくれるかな?」
「どうだろうね。パパにもお便りを渡しておくね」
このところ類は仕事が忙しいので、たぶん参観は難しいだろうと思う。
でも、話だけはしておこう。
「家族の作文をよむの。たのしみにしててね!」
「そうなんだ。もう作文は書いたの?」
「まだー。でもママにはないしょよ」


その後も美玖の今日一日の報告を聞きながら、クスクス笑い合っていると、隣の部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
次女の理紗りさは、類の誕生日の1週間前に生まれた。先日1ヶ月検診が終わったばかりで、まだまだ授乳の間隔があかない。

「…りっちゃん、もう目がさめちゃったの?」
二人きりの時間に水を差され、美玖は不満そうに唇を尖らせる。
胸に顔を埋めている美玖をぎゅっと抱きしめ、声をかけた。
「理紗がどうして泣いてるのか、一緒に考えてくれる? おむつかな? おっぱいかな?」 
「え~。どっちもじゃないの?」
「美玖がお手伝いしてくれると嬉しいなぁ」
「いいよ~」

私達は手を繋ぎ、元気な声で泣いている理紗の元へと向かった。
理紗の隣では、その泣き声に身じろぎもせず、暁斗がぐっすりと眠っている。



******



参観日当日。

花沢邸まで迎えに来てくれた滋さんと連れ立って、永林学園の初等部へ向かう。嬉しいことに、美玖は朱音ちゃんとクラスが一緒だった。
類はギリギリまで都合を合わせようと頑張ってくれたけれど、平日の午後はやっぱり体があかないらしかった。

「たった1時間の中で、上の子も下の子も見なきゃならないんだもん。我が子の発表に合わせて、ピンポイントに居合わせないといけないなんて難しいよね」
「そうですね。先に斉君の方へ行きますか?」
「朱音の発表までには間に合って帰ってくるから。あとでね~」
ひらひらと手を振って滋さんは3年生の教室へ向かい、私は美玖のいる1年生の教室へと向かった。


今日の授業は国語。
自分の家族についての作文を読むらしい。
本人曰く、「しっかりかけた」という作文の出来が気になるところだ。

教室に着くとまだ休み時間中だった。席に着いた美玖がすぐに気付いてこちらを振り返った。ニコッと嬉しそうに笑んで、胸元で小さく手を振っている。私もそれに応えて手を振った。


いよいよ発表の時間になった。発表は出席番号順で、一人の持ち時間は1分半から2分。美玖は20番、朱音ちゃんはトリの25番だ。
英徳に負けず劣らず、いいお家柄の子息・子女達が集まる学校だけのことはある。どの子も1年生とは思えないような文章力で、次々に素敵なスピーチを披露していく。

―美玖、大丈夫かなぁ。けっこう、あがり症なんだよね…。

そう思いながら、発表を終えた子に拍手を送っていると、滋さんが3年生の教室から戻ってきた。OKマークを示されたので、きっと斉君の頑張りをピンポイントで見届けられたんだろう。


やがて順番になり、美玖がすっと立ち上がった。その後ろ姿は、真っ直ぐな芯が通ったようにシャンとしていて、日毎、成長しているんだと改めて感じ入った。
美玖は原稿用紙を両手で持つと、ハキハキとした声で作文を読み始めた。





ママのとくぎ                        花ざわみく


わたしは五人家族です。
パパと、ママと、弟と、生まれたばかりの妹がいます。
今日は、大すきなママのとくぎを、みなさんにしょうかいします。

ママには、とてもふしぎな力があります。人が思っていることをよみとる力です。
わたしや弟やパパが何も言わなくても、わたしたちのしてほしいことがママには分かります。うれしい気もちのときも、かなしい気もちのときも、ずっとそばにいてくれます。

まだおしゃべりができない赤ちゃんの気もちも分かります。ないている妹も、ママがやさしくお話して、おせわしてあげると、すぐなきやんでえがおになります。

としょかんでかりた本に、「ちょうのう力」のことがかいてありました。ママのとくぎは、ちょうのう力とにているなと思いました。
大きくなったら、わたしもママのようなお母さんになりたいです。





パチパチと教室のあちこちから拍手が起きる。
もちろん、私も。
一番大きな拍手を送ってくれたのは、誰あろう、滋さんだった。




トリを飾った朱音ちゃんの発表も素晴らしかった。
それが終わるとそのまま学級ごとの下校になり、私と美玖は、帰りも滋さんの車に便乗させてもらった。斉君も合流して、後部席には5人が座った。

「美玖ちゃんのお母さん、質問があります」
斉君が背筋を伸ばし、改まって私に話しかけてくる。斉君はお父さん譲りのキリッとした顔立ち。将来はカッコよくなりそうだ。
「なぁに、斉君」
「朱音と美玖ちゃんは、美玖ちゃんのお母さんがテレパスだって信じています。本当にそんな力があるんですか?」

―てれぱす?

疑問符を飛ばしながら次の言葉を待っていると、朱音ちゃんが言葉を添える。
「人の心をよむことができるんだよね? みくちゃんパパとけっこんするときも、そうだったってきいたよ」
「パパのかんがえてることが、分かったんだって! だから、『せーの』でいっしょに『すき』って言えたんだよね」

―け、結婚するとき? それって、まさか…っ。

「三人とも、何の話なの?」
「みくちゃんがね…」
不思議そうに口を挟んだ滋さんに、朱音ちゃんと美玖がなぜそう思うに至ったかの経緯を事細かに説明し始めた。
発端は、『プロポーズの際、私と類が同じタイミングで好きだと言ったこと』だそうだ。それは昨年の夏、美玖と暁斗のためについてしまった嘘だったけれど、美玖はそれを信じ切り、いつの間にか超能力へと発想を繋げてしまっていた。
色々調べた結論がこうだったという。
「パパは、わたしやあっくんやりっちゃんの気もちが分からないことがあるもん。だから、テレパスはママなんだと思うの」


滋さんがあんぐりと口を開ける。
彼女は私と類のプロポーズの真実を知っているから。
いや、私もビックリしてるんだよ?
美玖達の想像力の豊かさに…。

それでも滋さんは彼女達の話を最後まで聞き、そしてすべてを理解した上で、こう説明してくれた。



******



「ただいま」
「あ、おかえりなさい」
類が帰ってきたのは午後10時、授乳を終えたタイミングだった。理紗を縦抱きにして背を撫でさすると、ケフッという音が聞こえた。
「理紗、ただいま」
類がふっくらとした頬に触れる。理紗はウトウトしていて、その刺激にはまったく反応しない。類は微笑み、小さな頭にそっとキスを落とした。
「…甘い匂いがする」
「赤ちゃん特有の匂いだよね。すごく癒されちゃう」
寝着くまで待ち、ベビーベッドの中にそっと理紗を下ろして振り返ると、類が私を手招きしていた。


類はベッドサイドに腰かけていた。シャワーは別の部屋で済ませてきたようだ。
「今日は参観日だったね。美玖の作文はどうだった?」
伸ばされた腕に引き寄せられて、私も類の隣に腰を落とす。
「それがね…」
美玖の発表内容と、その帰りの車中での子供達とのやり取りを明かすと、類はぷっと吹き出した。そのまま体を折って、くつくつと笑い始める。またしてもスイッチが入ってしまったらしい。

「それって、去年のつくしの『嘘』の延長だよね?」
「…うん」
「美玖、相変わらずの記憶力と想像力だね……くくっ」
笑いが止まらない様子の類に、私はため息をつく。
元はと言えば、類が見栄を張って、美玖に嘘をついたからでしょっ?

「それで? 大河原はなんて言って、子供達の疑問に答えたの?」
「滋さんの回答ね、すごく素敵だったんだよ…」




滋さんは、誰の言葉も否定することなくこう言った。
それは誰にでも持つことのできる能力なんだよ、と。
「相手の目を見る。表情を見る。相手が喜ぶことが何かを知る。考える。そうしたことの積み重ねで、だんだん相手の気持ちを読み取れるようになるんだよ」
「じゃあ、心の中をのぞいているんじゃないの?」
「美玖ちゃんのパパとママは昔っからラブラブだからね。美玖ちゃんがそう思っても、全然おかしなことじゃないけど」

―し、滋さんっ。
心の中ではツッコミつつ、ウインクを寄越す滋さんにすべてをお任せする。

「美玖ちゃん達が思ってることや気持ちを言葉にしなくても、それをママが分かってくれるのは、ママがたくさん努力をしたからだよ。…でもね、それは特別な力じゃなくて、私も、美玖ちゃんも、斉や朱音も身に付けることができる力なんだよ」
「ママも、あかねが思ってることを分かってくれるよ!」
朱音ちゃんが言う。
「…僕が思ってることは、分からない時もあると思うけど…」
斉君の冷静な指摘に、滋さんは「鋭意努力しますぅ」と苦笑い。


「…じゃあ、みくは、作文でへんなことをかいちゃったのかなぁ」
シュンと項垂れる美玖に、朱音ちゃんが言った。
「みくちゃんの作文、とてもすてきだったよ。あかね、たくさんはくしゅしたよ」
「ママのこと、あんなによく見てるんだもの。美玖ちゃん、ママの今の気持ちが分かるでしょう?」
滋さんに促されて、美玖が私を見上げてくる。


自分によく似た漆黒の瞳。
私の心を読み取ろうと、瞬きもせずに。


私の浮かべた満面の笑みに、美玖は自信を得たように頷いた。
「「たいへんよくできました」」
それは子供達を褒めるときの、いつものフレーズ。
私と美玖の声は重なり合い、それを聞いた滋さん達は、「すごい!」と言って大きくざわめいた。




「…いい仕事するね、大河原」
「さすが先輩ママだなぁって思ったよ。もう助かっちゃった」
類は私を引き寄せたままベッドに転がり、後ろから抱き込んだ。
首筋に彼の唇が触れて、すごくドキドキする。
「子供達のこと、いつもありがとう。…あのとき軽い気持ちでついた嘘が、後々こんなに影響してくると思わなかった。…笑ったりしてごめんね」
「…うぅん。私もその場しのぎをするんじゃなかった。あのとき、ちゃんと訂正していればよかったよ」

「近いうちに子供達には俺からちゃんと話すよ。美玖には嫌いって言われちゃうかもしれないけど…」
私は笑いながら、類の手をポンポンとたたく。
心配いらないよ、と。
「美玖はパパが大好きだもの。…騙されたって一時的に怒ったり悲しんだりするかもしれないけど、案外しょうがないパパねって笑って許してくれるかもしれないよ?」
そうだといいけど、と類も小さく笑った。





いつも拍手をありがとうございます。『Telepath ~Akito side~』へ続きます。
今回は区切りの記念SSですので、前・後編とも長文になりました。
後編の更新は明後日です。よろしくお願いいたします<(_ _)>
関連記事
スポンサーサイト



4 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/06 (Mon) 08:31 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/05/06 (Mon) 14:36 | REPLY |   
nainai

nainai  

ma様

こんにちは。コメントありがとうございます(*^^)v
SSは毎回自信がないので、最初にメッセージいただけて嬉しかったです。

暁斗は後編に出てきますのでここではまだ触れずにおきますが、美玖は本当に素直で想像力豊かな女の子です。類とつくしの愛情を受けて伸びやかに育っています。パパの言葉を信じきっているので、これからの類のカミングアウトをどう受け止めるのか、見守っていてくださいね。

執筆中に『Telepath』の続きが浮かんできたのですが、それはまたの機会に。
ネタはしばらく温めておきますね。いつか形にできたら…と思います。

2019/05/06 (Mon) 16:38 | REPLY |   
nainai

nainai  

ま様

こんにちは。コメントありがとうございます(*'▽')
ま様の体験談は『そうそう。あるある。』と頷きながら読みました♪
我先に話をする…。えぇ、私もですw

美玖は見た目も中身もつくし寄りです。第一子ということもあり、類は美玖をめいっぱい可愛がっただろうと思います。類の見栄っ張りを、子供達が本当の意味で理解できるのはまだまだ先になりますが、これから類の懺悔が始まりますので見守っていてくださいね。

今回の執筆は、実生活の忙しさもあり、なかなか思うように進みませんでした。でもこの続きのイメージがボヤ~ッと浮かんできたので、また別の機会にお話を書けたらいいなぁと思います。

2019/05/06 (Mon) 16:59 | REPLY |   

Post a comment