FC2ブログ

『7777』

Category2万HIT記念
 0
日頃より当ブログにご訪問いただき、誠にありがとうございます♪
サイトオープンから早くも3ヶ月が経ちました。
“1万HIT記念”が間に合わなかったので、中途半端ながら“2万HIT記念”でShort Story(SS)をお送りしようと思います。
SSはわりに苦手なのですが、連載がダークモードなので、息抜きとしてお楽しみいただければ幸いです。



『7777』



「合計で777円です」
コンビニのレジで店員さんにそう言われて、あたしは少し驚いた。
あ、またゾロ目だ…。

会計を済ませた後もレシートをじっと眺めながら歩いていると、店先であたしを待っていた類が話しかけてくる。
「どうかした?」
「ん~。スリーセブンだなって」
ほら、と見せると、類は、ふぅん、と気のない返事を寄越した。
「それが?」
「今日、2回目のゾロ目なんだよね」

午前中、市役所で証明書を発行してもらうときの整理券ナンバーが『77』だった。
なんとなく幸先いいなって思ったのを覚えている。

「…で、この後『7777』が続いたら、スゴイなぁって」
「もしさ、その数字が出たらどうする?」
「う~ん…」

あたしは一頻ひとしきり頭を捻った後、こう言った。
「じゃ、お互いに相手のお願い事を一つ、聞いてあげるっていうのは?」
「それ、俺もあやかっていいの?」
「だって、喜びを共有したいしね? いい記念になるかなって」
あたしが笑うと、類も了解って言って笑ってくれた。

『7777』なんて、日常生活でそんなありふれた数字じゃないものね。
7のゾロ目が連続したら、それって、すごく奇跡的な事じゃないかな?

類にお願いしたいこと。
絶対に叶えてもらえるんだったら、あたしは一つでいい。



**********



今日『7777』に出会えれば、牧野が俺の願い事を一つ叶えてくれると言う。
牧野にお願いしたいこと。
あんなコトや、こんなコトとか…?
…ひとつに絞り切れないかも。

牧野と付き合いだして、初めて知ったこと。
自分は、意外と煩悩にまみれた人間だったんだな、という事実。


俄然やる気スイッチの入った俺は、どういう状況なら『7777』が生じるのかを考えてみる。
シンプルなのは、やっぱり買い物かな。
でも、税込7777円になるためには、税抜7201円の買い物が必要だ。
端数の1円が憎い…。
どっかのサイトにアクセスして、キリ番を踏ませるのはどう?
車のナンバープレートは?


あれこれ考えていると、俺達はJR駅構内に足を踏み入れていた。
ここから電車で品川駅まで向かう。
今日のデートコースは、牧野の希望で水族館。
目的地は品川駅から歩いてすぐのところにあるという。

「ごめん。プリカ忘れちゃった。切符買ってくるから」
そう言って、彼女が券売機に並び始めてからもう10分。
…ちょっと遅くない?
周囲を見渡すと、パタパタと小走りに戻ってくる牧野を発見した。
心なしか、その頬が上気して見える。
「…遅かったね?」
「待たせてごめん。行こっ!」



**********



ゆらゆらと水中を漂うクラゲたちが、暗闇をバックに鮮やかに照らし出される。
規則的に並んだ水槽群はどれも同じ形なのに、どれもが違った色彩と模様とを描いて観客を魅了する。
光と影が交錯する幻想的な空間を、あたしは類と手を繋いで歩いた。
彼とこうして一緒にいられるだけでも嬉しいのに、そのときのあたしは、“奇跡”を手にしてしまった喜びでいっぱいだった。

どうしよう。『7777』だ…。
それが分かった瞬間、ビックリが高じすぎて、思わず叫び出しそうになった。
類、起きちゃったよ。奇跡…。


「…あのさ、類。…お願い事って、もう、決まってる?」
「うん。牧野は?」
「あたしも…」
ミズクラゲの水槽の前で、あたしは類と手を離して向かい合う。
あぁ、胸がドキドキする…。


「はいっ。3回目のゾロ目!」
「…えっ」
彼に差し出したのはJRの乗車切符。もちろん未使用の。
類は切符を手に取り、購入時刻の横に印字された4桁の通し番号が、7で揃っていることに気付いて笑う。
「すごい発見…」
感嘆したかのような声の響きに、あたしも笑う。
「だから、買うときに時間かかったんだ」
「そう。これに気付いて、切符を買い直しに行ったから…」


「なんで、すぐ言わないのさ」
「悩んでたから。…いろいろ」
その願い事を口にしていいものかどうかを、悩んでいたから…。
「言っていい? 願い事」
類は優しく笑う。
「いいよ。……何だって叶えてあげる」
本当に? 何でも?
その笑顔を見るだけで、どうしようもなく胸が高鳴っていく。
彼を見上げて、一つ深呼吸をして、あたしは言う。
「ずっと一緒にいてくれない? …あたしと」



**********



「ずっと一緒にいてくれない? …あたしと」
そう言った牧野の顔はたぶん真っ赤だったんだろうけど、水槽のライトのせいではっきりとは分からない。
だけど、暗がりの中、弱光に煌めく瞳が告げていた。
決して、冗談なんかじゃないんだよ、と。

「…ずっと?」
確かめるように問えば。
「うん。…これから先、ずっと」
そう、欲しい答えが返って。


俺は猛省する。彼女のような真剣なお願い事じゃなく、ヨコシマなコトばかりを思い描いていた自分を。
ずっとソワソワしている彼女には気づいていたのに!
結局、こんな大事なこと言わせる形になって、男としては立つ瀬ないじゃん。


「…もう、あんたって奴は…」
くくっと洩れ出た笑いとともに、彼女を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。
腕の中で牧野が慌てふためく。

周囲の客の視線も、ざわめきも気にならない。
ただ、ただ、彼女に伝えたい。
自分の体の隅々まで満たす、この喜びを。

「…俺もずっと一緒にいたい」

あんたの言う通りだ。
今日は本当に“いい記念”になった。
まさかのゾロ目の三連荘さんれんちゃんで、こんな事態になるとは。
だけど、これだけは先に言わせてよ。

―俺と結婚して―

もちろん、Yes以外の返事は受け付けないからね。




~Fin~




参考までに。
切符の右下、時刻の横が通し番号です。
切符




ブログ村のランキングに参加しています。ポチッとお願いします☆

いつも拍手をありがとうございます! SSでした(;^_^A
スポンサーサイト



0 Comments

Post a comment